なぜ日本の子どもに2型の糖尿病が多いのか

 

2型は遺伝的な要因と生活習慣の積み重ねから発生する

 朧朧本の子どもだもの1日はこうだ。学校が終わると真っ先に塾に通い、塾圖の帰りにファーストフードをコーラで胃に流し込む。リ帚宅して宿題を終えると、コンピュータゲームに没頭。あるいは、ソファーでポテトチップを食べながらテレビを見る。

 そして、夜食を食べて寝る。夜遅く寝たから、朝は遅く起きる。朝食を食べる時間もなく、学校に行く。

 1日中、ほとんど運動らしい運動はしないで、高脂肪・高カロリー食を食べる。運動不足とカロリー過剰から、肥満になり、2型が発症する。

 テレビゲーム、コンピュータ、テレビによる運動不足、ハンバーガー、フライドチキン、コーラ、ポテトチップなどによる力口U一過剰が、日本の子どもに2型の糖尿病を発症させる元凶である。

 また、少子化にともない、親がわが子に過度の期待を寄せるようになったことによる子どものストレス。子どもの塾通いによる多忙さからくる睡眠不足というストレス。一一ストレスが血糖値を高めることはすでに述べた。
もし子どもに発症した2型を放置するとどうなるか。発症年齢が低い

 若いうちに合併症を起こすことになる。


 成人の失明原因の第1位は糖尿病による網膜症人工透析を必要とする最大の原因は腎不全などの腎臓障害であるが、この患者が急増する。

 厚労省によると、1996年度の国民医療費は約28兆5000イ意円で、糖尿病は約9600イ意円であった。

 また、WHOは2002年のわが国の糖尿病患者数を予測している。単純に計算すると、2025年のわが国の糖尿病にかかる費用は、約1兆円に達する。だが、被害はこれだけでは

わが国の子どもたちは、1日中ほとんど運動らしい運動をせす、高力囗リー食を食べている。その結果、運動不足とカロリー過剰のため肥満になり、2型の糖尿病になる子どもが増えてる
すまない。

 このままでは10~20年後に2型の子どもたちは失明したり、足を切断することになり、はたらけなくなる。税収は落ちる。その一方で、彼らを支えるための医療費は飛躍的に増大する。このままではアジア諸国とわが国の医療制度は壊滅する……という最悪のシナリオが待ち受けている。
    S・・ 2 型糖尿病を減らすには

    厚労省は、糖尿病を放置しないように国民に積極的に呼びかけるべきであ
   る。小中学生は学校検尿や健康診断で糖尿病が発見できる。大人は健康診断
   を年に1度は必ず受けて血糖値を測定する。そして大人も子どもも糖尿病を
   発見したら、できるだけ早く専門医に相談すべきである。
    2型は、遺伝的な要因と生活習慣の積み重ねから発生するから、近親者に糖
   尿病患者がいれば、自分も遺伝的要因を持っていると考えて対処するのがよ
   いだろう。
    そうなると、発症への歩みを止めるには、これまでの生活習慣を改善しな
    ければならない。具体的な対策は、以下のようなものだ。


 ①生活の面の食事改善による肥満解消
 ②運動量を増やす
 ③ストレス発散

 太るとインスリン抵抗性物質が放出されるため、肥満は2型の発症や悪化の大きな原因になる。韓|ず、肥満から脱却することが大事である。間食、夜食をやめ、食事の時間を一定にし、1日3度の食事をきちんと摂る。親子は似たような食事をするので、子どものためにも、一家そろって食生活の改善に取り組むことが大事だ。

 天ぷら、フライ、ステーキ、ハンバーグ、ファーストフードといった高脂肪食を避け、摂取カロリーを低くして、体重を落とす。それには、肉やハム類の摂取を減らし、魚と野菜を中心の食事にすればよい。

 酒とつまみにはかなりのカロリーが含まれているので、要注意。それから、子どもはコーうなどの清涼飲料水の飲料を減らすことが肝心。

 毎日の運動は絶対に欠かせない。運動は、エネルギーを消費して痩せることだけが目的ではない。運動不足になると、インスリンのはたらきが悪くなるばかりか、ストレスを発散できないのである。

 節約遺伝子は持って生まれたものだから、今さらどうこうするわけにはいかないが、過食を避けることや運動量を増やすことは、少しの心がけと努力があればできることだ。節約遺伝子があるからといって、必ずしも肥満になるわけではないし、ましてや糖尿病になるわけでもない。遺伝子に備わった「遺伝的なはたらき」は人間と環境との相互作用によって現れるからである。しかもこの環境は私たちが主体的に、たとえばこのように選択できる。

 毎日継続できる運動として、速歩き、サイクリング、ストレッチ、また、エレベーターやエスカレーターに乗らす、できるだけ階段を利用するなど、生活のなかで運動量を増やす。子どもは親の行動を見て真似る。親が少しくらいの距離なら車や電車を使わずに歩くなら、子どもも歩くようになるだろう。

 私たちが遺伝子に支配されるのではなく、むしろ私たちが環境を選択することで遺伝子を支配しているのである。