巨細胞性腱腫瘍

巨細胞性腱腫瘍giant cell tumor of tendon sheath

指・手・手関節部に生ずる皮下の硬結で腱に密着している.組織球様細胞〔脂肪・ヘモジデリンを貪食して泡沫細胞状のものもある〕増殖と,ヒアリン化膠原線維とともに線維芽細胞の増殖とがあり,これに巨細胞〔好酸性原形質で境界は不整形,多核〕が散在する.本態は腱鞘・滑膜の良性腫瘍と考えられ,手指足趾関節部に生ずる限局型は結節性腱鞘滑膜炎(nodular tendosynovitis)とも呼ばれ皮膚科でみることが多いが,大関節を侵すびまん匪型〔色素性絨毛結節性滑膜炎(pigmented villonodular synovitis)]もある.

01.軟性線維腫fibroma molle, soft fibroma

 3型に分ける

 1)アクロコルドンacrochordon : 頚・腋窩に生ずる粟粒大の多発する小丘疹茎性となることも多い.中年以降に増加.いわゆるアクロコルドンの大部分は老人性疣贅であるが,その一部はこの軟性線維腫である.

 2)直径2 mm, 長さ5mmほどの細長い小丘疹.

 3)径Icm以上に及ぶ下垂性腫瘤で体幹下部に多い〔下垂性線維腫fibroma pendulum〕.

   〔付1〕knuckle pads : 指趾背関節部に生ずる爪甲大の限局性胼胝腫様隆起で表面に角質増殖がある.真皮線維腫が本態であるが,一方角質増殖を主体とする,いわゆる胼胝哇に属させるべきものもある.

  (digital) fibiokeratoma〔Bart 1968〕:主として指趾ときに手掌足底に生ずる指状突起で,正常皮膚色,弾性硬,表面角化性のことあり,ドーム状隆起ではわずかに頚部のくびれることあり.30歳以降,やや男子に多く,外傷誘因の可能性がある結合組織増殖と角質増生.切除.

 〔付3〕小児指線維腫症infantile digital fibromatosis〔Shapiro 1969〕:幼児の指趾に生ずる米粒~指頭大小結節で正常皮膚色~赤褐色,弾性硬,単ないし多発,再発しやすい.線維芽細胞様細胞と膠原線維束が交錯して増殖し,細胞内に3~10μmの好酸性封入体を有する.この細胞は細線維を有し, myofibroblast と称され,本症はinfantile digital myofibroblastoma 〔BLawan 1979〕とも呼ばれる.

 〔付4〕fibrous papule of the face (nose)〔Graham 1965-Meigel 1979〕:①10歳以降の顔面に生ずるドーム状の淡紅色小丘疹,直径5mmまででまれに有茎性,②膠原線維生,血管拡張,弾力線維欠除,多核巨細胞・紡錘形樹枝状細胞の真皮内出現.表皮内空胞細胞,基底部色素沈着,③他にプリングル病の病変を有しない.angiofiblomaの一種か.