評定法:看護技術の評価項目


 評定法は評定尺度法ともいわれ、観察に基づいてある特定の行動を評価する際にその程度を量的にとらえようとする方法である。具体的な方法としては、記述評定尺度・図式評定尺度・点数評定尺度などがあるが、いずれも評定しようとする内容が明確で、評定者による差がないようなものに限られる。

 記述評定尺度は、特定の行動に対して、いくつかの差をつけた段階(5段階が多いが必要に応じて加減できる)を短文で設定し、その範囲内で評定する方法である。看護技術の評価項目に対しては、その項目の内容を考慮して段階的に実施状況を設定することもできるし、学習態度などに関して、単独に内容的な尺度を設定する場合もある。

 すべての必要物品を適切に配置しているー⑤

 5種類の必要物品のうち、3種類を適切に配置しているー③

 すべての必要物品を不適切に配置しているー①

①準備は適切か.
②リネンの広げ方は適切か.
③シーツの持ち方は適切か.
④シーツの引き方は適切か.
⑤シーツのマトレスの下への入れ込み方は適切か.
⑥後始末は適切か.

 点数評定尺度は、前述の二つの評定尺度のように、具体的な文章表現を用いないで、単に数字や記号で内容を示そうとするものである。たとえば、⑤、④、③、②、①や、 A、 B、 C、 D、 Eを用いて、数量的程度であらわそうとするものである。

 記述評定尺度例を「クローズドベッド作製技術」で示すと、表20、 21のような二つの例が考えられる。

 これまで取り上げてきたチェックリスト法と評定法は、行動を観察する際に最も一般的に用いられる方法である。両者とも、それぞれの特徴を生かして異なる目標に対する評価用具として利用する場合と、同じ評価目標で両者を併用する場合とが考えられる。しかし、表20のような評定尺度を用いて行う評価は、それぞれの動作が専門家なら必ずそうするというように内容が明確な場合に限られる。たとえば、表19のチェックリストで示したような細かい内容が一つの行動になっていることが保証される場合である。したがって、表20のような項目と尺度で評価をするには、評価者は専門家の技術としてだれもが同じ項目を常に考慮する必要があり、学習者には事前にチェックリストに示されたような具体的な内容の学習段階が必要となる。この関係が保証されないような場合は、表19もしくは表21で評価することを考える。