被角血管腫

被角血管腫angiokeratoma

 次の4型に分かつ.

  1)ミベリ被角血管腫angiokeratoma Mibelli 〔付図26-36〕:粟粒~半米粒大の暗赤~赤紫色の,表面角化性小丘疹が指趾背面・手足背,ときに膝蓋・肘頭に対側性に生ずる.思春期に発し,かつ凍瘡や四肢末端チアノーゼに併発することが多く,まれに先天性末梢血管脆弱[常染色体性優性]に由来する.

  2)陰嚢被角血管腫angiokeratoma scroti Fordyce : 高年男子陰嚢に同様角化性小丘疹が散在性に生ずる.まれに女子大陰唇に掻破により出血し,下着が汚れて血尿と誤ることがある.静脈圧亢進が素因となる.

  3)母斑様限局性体幹被角血管腫angiokeratoma corporis circumscriptum naeviforme (angiokeratosis naeviformis Dammert 1965):出生時より紅斑・紫紅色丘疹・嚢腫状小結節として発し,次第に暗紫色となり,表面角化性となる.常に片側性で,下肢に多く,静脈怒張を伴い,患肢は肥大する.

  4)単発性被角血管腫solitary angiokeratoma 〔Imperial-Helwig 1967〕:成人の主として下肢に単発する.

   出生時,主として下肢〔体幹jに生ずる小血管腫で徐々に現状となる.乳頭層より真皮下層・皮下組織にかけて血管拡張・増殖あり.わが国で10余例.

   〔付2〕angiokeratoma corporis diffusum Fabry はリポイド代謝異常症で,本型とは関係ない〔aEfp.301〕.

 グロームス腫瘍glomus tumor 〔Masson 1924), glomangioma

 〔症状〕四肢末端とくに指趾,中でも爪甲下に発する,暗紅~紫紅色の,硬い,豌豆大までの腫瘍で,わずかに隆起あるいは皮内に存する.単発し,激痛がある.ときに全身に多発するが,その時は疼痛が少ない〔多発型は常染色体性優性遺伝〕.

 [病因]小動静脈吻合部〔皮膚糸球〕のグロームス細胞[平滑筋細胞:周皮細胞由来?]の増殖.一種の過誤腫と考えられる.

 〔組織所見〕1層の内被細胞より成る管腔と,これを囲むグロームス細胞[類上皮細胞に似た形]の増殖.単発型はグロームス細胞が充実性に増殖する傾向が強く,一方多発型は管腔形成傾向が強い.