播種状黄色腫、隆起性皮膚線維肉腫

播種状黄色腫xanthoma disseminatum

　〔症状〕

　1）個疹は黄・黄紅・黒褐色丘疹ないし小結節で，主として間擦部〔腋窩・鼡径外陰・肘窩膝膕〕・眼瞼その他体幹に汎発匪かつほぼ対称性に多発，融合して局面状ともなる.

　2）粘膜：口腔・咽喉・気管支・消化管に生じ，呼吸困難・摂食困難，ときに氣皀を生ずる．角膜・結膜侵襲はまれ.

　3）尿崩症:40％に下垂体侵襲による.

　4）血清脂質値正常〔まれにコレステロール・脂質上昇〕.

　［病因］組織球増殖症で脂質貪食を来し黄色腫釧」包・ツートン型巨細胞を生ずる.

　［予後］皮疹・尿崩症ともに自然退縮し得る．呼吸器侵襲の激しいときには予後不良.

　〔治療〕①ステロイド，②手術的切除，③尿崩症・呼吸機能の管理．

隆起性皮膚線維肉腫dermatofibrosarcoma. protuberans［Hoffmann 1925］

　〔同義語〕花むしろ状線維性黄色腫storiform fibrous xanthoma

　〔症状〕初めは皮内・皮下の硬結・局面として発し，やがてその局面内に半球状あるいは茸状の腫瘍が生ずる．赤褐色で下床に対して可動性，単発ないし多発する．青成人男子の体幹に好発．経過はきわめて緩慢で切除後局所再発傾向が強いが，転移はまれ［10％以下］.

　〔組織所見〕浅層では皮膚線維腫様増殖であるが深層では浸潤性に皮下に及び，わずかに異型性を示す紡錘形核の線維芽細胞が花むしろ状，車軸状に増殖する.

　〔治療〕広範切除．