Velphoro(リン吸着薬):胃腸管のリン吸収を抑制するチュアブル・タブレット

2013年11月28日、Velphoro(sucroferric oxyhydroxide)が、慢性腎疾患の透析患者を対象とした血清リン濃度( serum phosphorus )の調節薬としてFDA承認されました。

Velphoro(以前はPA21として知られていた)は、鉄ベース(iron-based)かつ無カルシウム(calcium-free)のチュアブル(噛み砕ける)リン吸着薬(chewable phosphate binder)です。各錠剤に100mg相当の鉄成分が含まれています。食事中に服用されたVelphoreは、胃腸管内のリンを吸収し、血液へのリン取り込みを防ぎます。吸収されたリンは後に糞便として排泄されます。米国での承認は、主要および副次エンドポイントに達した第Ⅲ相臨床試験結果に基づいています。同試験では高リン血症の抑制でVelphoroが、慢性腎疾患の標準的治療法で用いられる炭酸セベラマー(sevelamer carbonate)よりも優れていることがわかりました。高リン血症を抑えるための1日の平均投与量は、52週後で1日あたり3.3錠でした。

VelphoroはVifor Pharma社により開発され、その全権利は2011年に、Galenica and Fresenius Medical CareのコモンカンパニーであるVifor Fresenius Medical Care Renal Pharmaに譲渡されました。Galenica and Fresenius Medical Careは、透析治療分野を得意とする強力なマーケティング・販売企業です。Velphoroの活性成分はスイスのVifor Pharma社が生産します。

1000人以上の患者を対象とした第Ⅲ相試験結果は、2013年5月にトルコのイスタンブールで開催された第50回ERA-EDTA(欧州腎臓・透析移植学会議)と、2013年11月にジョージア州アトランタで開催された米国腎臓学会議(American Society of Nephrology )で提示されました。そして、Velphoroは有効なリン吸着薬であり、安全性が高く、錠剤数の負担( pill burden )が少ないことが示されました。

このデータをもとにVifor Fresenius Medical Care Renal Pharma は、透析を受けている慢性腎疾患患者の血清リン濃度を調節する上で、Velphoro投与が有効な治療選択肢になると考えています。

VelphoroレジスタードマークはFresenius Medical Care との共同で開発されました。また、日本ではKissei Pharmaceuticals社により第Ⅲ相臨床試験が実施されています。

米国で承認されたことは、日本で臨床試験を実施している人たちにとって大きな励みになったことでしょう。