日本の病院経営は非効率

医薬品業界にとって最終需要者は病気に苦しむ患者です。ただし治療薬の選択、処方については医療機関と医師の判断によるところが大きいです。問題となっている医師不足と非効率な病院経営は、適正な医療を供給するために早急に改善されるべき点です。

日本は医師不足といわれていますが、米国と比べて人口比で2倍以上の専門医が存在する一方、ファミリードクターに相当する全臨床医をはじめ産婦人科、小児科、明日以下の医師が不足しています。とくに都市圏以外の地方での医師不足は大きな問題であり、診療報酬の抜本的見直しを含めて総合的な診療に対応できる医師の養成は急務です。

一方、日本の病院事情は欧米と比較して平均在院日数が36.6日と長く、人口1000人当たり病床数は14.2床と多いです。入院日数が長くベッド数も多ければ非効率という結論になります。

もちろん、日本では住環境の事情などで社会的入院をすべて拒むのは困難です。介護保険によるサービスが縮小する中で、介護が必要な高齢者ケアの受け皿不足は明白です。

高齢化の進展に伴う生活習慣病の悪性新生物(癌)の増加という問題があります。食生活の欧米化と運動不足やストレス、そして高齢化の進展は、日本の疾病構造を大きく変えました。

日本の癌による死亡率31.1%は経済先進国の中で第1位です。3人に1人が癌で死亡していることになります。高齢化が進むと2人に1人は癌で死亡すると推定されています。癌対策は急務です。

また癌に循環器系の生活習慣病を加えた死亡率は、すでに60%を超えています。生活習慣病は長期の薬物療法や定期的な受診が必要とされ、医療費高騰の原因の1つとなっています。生活習慣病の予防にメタボリック症候群対策などが必要とされる所以です。