経口投与でも90%近い抗ガン活性を示す

 1968年の国立がんセンターの研究によると、メシマコブの腫瘍阻止率は、96・7%という高率だった。いくら高率でも、これは注射による判定であるから、クレスチンと同じようなことも考えられる。

 

 さらに、「メジマコブ」の特徴の一つに、他のキノコより大きい150KD(約15万)の分子量がめった。普通、分子量が小さいほど腸管から吸収されやすいと言われているから、「『メシマコブ』は腸管から吸収されにくいのではないか」という疑間が当然出てくる。つまり、「経口投与では効果がないのではないか」という心配である。

 

 しかし、この点でも、「メシマコブ」にははっきりした臨床例がある。金沢大学薬学部の大田富久教授のサルコーマー80を移植しかマウスの研究によれば、経口投与でも、「メシマコブ」は89・7%という高い抗ガン活性を示すことが明らかになっているのだ

。注射による96・8%と比較しても、遜色のない数値である。

 

 では、なぜ分子量の大きい「メシマコブ」が経口投与でも効果を失わないのか。

 

 この間題にぶつかったとき、私は遺伝子栄養学研究所に電話をかけていた。松永先生の答えはあっけないほど明快なものだった。

 

 「じつは、最近、腸管には。ある種の高分子を認識する受容体があることがわかっているんです。たとえ腸管から吸収されなくても受容体が認識することで免疫細胞が活性化し、高い抗ガン作用を発揮すると考えられています。

 

 また、一方では、腸管の細胞のなかには特殊な細胞があり、必要な高分子を体の中に取り入れるために、その高分子を認識するとスイッチーオンの状態となり、入口が開くという考えもあります。いずれにしろ、人間の体の神秘性を感じます」

 

 「メシマコブ」が経口投与でも強い抗ガン効果を示す秘密の答えは、腸管の“ある種の高公子を認識する受容体”と「メシマコブ」独特のこの多糖体構成にあるのかもしれない。「メシマコブ」独特の複合体が腸管の受容体に認識され、免疫細胞が活性化されるということが大いに関与していそうだ。

 

 金沢大学の大用先生は、「メシマコブ」が経口投与でも効果を示すことを確認してこう発言している。

 

 「『メシマコブ』には、口から摂取して免疫活性をあげる高分子の有効成分があることは間違いありません」

 

 現在、高分子をそのまま吸収できるという説もあり、腸管免疫の中心的な存在であるパイエル板という器官で認識されるという説もあるが、いずれにしても「メシマコブ」には免歿細胞を活性化し、抗ガン作用をもたらす有効成分が含まれていることは数多くの実験と臨床例が証明している。

 

ガン臨床医はなぜ「メシマコブを」使うのか  北川栄志[著] 定価 本体1000円(税別)