2014-06-25から1日間の記事一覧

海外のオートプシー・イメージング(Ai):スイスのヴァートプシー、オーストラリアのコロナー制度

日本で法医学にAiが応用されるようになったのは、ここ数年です。遺体専用機として、法医学機関に専用CT装置が徐々に設置されつつあります。 Aiは江澤らにより提唱された呼称で、死後画像診断は国によって呼称が異なります。欧米では、法医学における画像診断…

筋筋膜性疼痛と繊維筋通症の鑑別について

繊維筋痛症や慢性広範痛症との鑑別において、最も問題となる疾患です。筋膜上にあるトリガーポイントを圧迫すると痛みが拡散する疾患です。繊維筋痛症より痛みの範囲が狭く、繊維筋症とは異なり男女ほぼ同数です。 繊維筋鞘とは異なる疾患であるという意見が…

インフルエンザウイルスの毒性はHA(赤血球凝集素)の構造で決まる

インフルエンザウイルスが標的細胞に感染するには、まず、細胞表面のレセプターに結合しなくてはなりません。この結合を担うのが、ウイルス粒子表面に出たHA(赤血球凝集素)という糖タンパク質です。HAがうまく結合できるようなレセプターをもたない細胞には…

英語プラス国家の樹立

バイリンガルにしても、マルチリンガルにしても、それぞれに複雑な民族的、文化的、政治的、経済的な要素が絡み合っています。 米国の場合、「英語オンリー」と「英語プラス」をめぐる葛藤は、本質的には国家のアイデンティティをめぐる葛藤です。 国民をあ…

Sovaldi(ソホスブビル)がOlysioに続いてFDA承認を獲得

Sovaldi(ソホスブビル[sofosbuvir])が慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染症の治療薬としてFDA承認されました。Sovaldiはインターフェロンの併用投与なしで特定タイプのHCV感染症に効く初の医薬品です。 「本日の承認は、特定の慢性C型肝炎患者を対象とした治療パ…

Sovaldi(ソホスブビル)がOlysioに続いてFDA承認を獲得

Sovaldi(ソホスブビル[sofosbuvir])が慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染症の治療薬としてFDA承認されました。Sovaldiはインターフェロンの併用投与なしで特定タイプのHCV感染症に効く初の医薬品です。 「本日の承認は、特定の慢性C型肝炎患者を対象とした治療パ…

頭部MRA(核磁気共鳴血管画像)のデメリット

頭部MRAは、脳動脈瘤を直接見つけていく検査になります。MRAとは核磁気共鳴血管画像のことで、MRI検査のうちで脳の血管だけを調べる検査ともいえるものです。 MRIで写るの脳内のいろいろな像は、普通は脳の中の様々な組織における水素原子というか、プロトン…

レセプター型チロシンキナーゼについて:c-fms、VEGF、Grb2

造血初期に作用して造血幹細胞から造血前駆細胞や各系列前駆細胞へと増殖・分化を促す因子として幹細胞因子(SCF)は極めて重要です。SCFのレセプターは源癌遺伝子c-kitです。そのほか、造血に関与するレセプター型チロシンキナーゼとしては、M-CSF(monocyte c…

レセプター型チロシンキナーゼについて:c-fms、VEGF、Grb2

造血初期に作用して造血幹細胞から造血前駆細胞や各系列前駆細胞へと増殖・分化を促す因子として幹細胞因子(SCF)は極めて重要です。SCFのレセプターは源癌遺伝子c-kitです。そのほか、造血に関与するレセプター型チロシンキナーゼとしては、M-CSF(monocyte c…

蛋白尿:IgA腎症、膜性増殖性腎炎、メサンジウム増殖性腎炎や巣状硬化症の患者で注意

正常な成人でも1日に100mg程度のアルブミンが尿中に排出されています。生命が維持されるために、生体の各細胞では、エネルギーを産生供給したり、その形態を保つために、蛋白質や糖質、脂質などのさまざまな物質の代謝が行われています。 その結果、血液…

多尿:水制限試験、バソプレシン試験

正常な大人の1日の尿量は、通常800~1600ml程度です。普通に食事を摂って、普通の生活をしていると、1日に尿中に排泄しなければならない不用な物質(塩類、老廃物など)が一定の量生じます。 この物質を例えば食塩とすれば、食塩水の形で作られる尿は、そ…

乏尿・無尿・尿閉:ミオグロビン尿症

尿には1日で排泄されなければならない物質(溶質)がある一定量含まれます。この溶質を溶かして体外に出寸ためには、最低1日500mlの水分を必要とします。1日の尿量が250~300ml以下に減る状態を乏尿といいます。 また、全く腎臓で尿が生成されない状態…

常染色体優性遺伝嚢胞腎:腎嚢胞:遊走腎

先天性、遺伝性の疾患です。常染色体優性遺伝形式をとるので、片親が朧朧腎の場合、生まれてくる子供の半数に男女に関係なく病気が出現します。遺伝性素因をもっていない場合は病気は発現しませんが、遺伝性素因をもっている場合、病気は必ず発現します。 た…

翻訳の巫女的およびミディアム的な側面

柴田 大学院では翻訳の授業はやらないので、そこはつなげてお話しできないんです。ただ、訳すことじゃなくて読むことについていえば、僕にとって、学部生でも院生でも、学生がよく読めるようになるというのは、お腹のあたりにもともと潜在しているその人のバ…

訳者というペルソナ

村上 それと、もう一つ僕が感じるのは、翻訳をしているときには一つの仮面を被るというか、ペルソナを被るみたいなところがあって、たとえばカーブ。Iをやっていると、カーヴァーのペルソナを被るし、カポーティのときもそれなりのカポーティ的ペルソナを被…

小説家兼翻訳者というものの限界

出席者F また「偏見のある愛情」ですが、好きでこれまでいろいろ訳してきた作家でも、たとえば初期短篇集だったら、ある程度、円熟期のものと比べると作品に粗があると思うんですけれども。村上 ものすごくあります。今もカーヴァーの未発表の作品をまとめ…

トランスレイターズ・ハイ

村上 翻訳は、ある種、理不尽なものですね。理不尽な愛情というか、理不尽な共感というか、理不尽な入れ込み、そういうのがないと無理だと思うね。だって、長篇小説なんかだと一冊の分厚いものを、一年も二年もかけて日本語に移し換えるわけでしょう、普通の…

ダイアローグの訳し方について

出席者B 『Collectors』に戻るんですけど、この「掃除機のセールスマン」ってすごく特異なキャラクターですよね。何か声がすごく大きい感じがしたんですけど、たとえばこの短篇を訳されるとき、科白を声に出して、日本語でも英語でもいいんですけ…

翻訳の賞味期限

村上 言い換えれば、カーヴァーにとって何か正しい翻訳かというのは、僕にはもうわからなくなってるんです、はっきり言って。他のものに関しては、ある程度、選択肢というのは見えるわけ。ところが、カーヴァーに関してはまったく見えないんですよね。あまり…

カキフライ理論

出席者A お二人にお聞きしたいんですけど、フォーラム2で、「日本語を磨くために、美しい文章を読みなさい」みたいな教えが一般的にあって、それはちょっと違うという点てお二人が一致してらしたんですね。私も、何かそういう考え方はいやらしいなと思うし…

カポーティとフィッツジェラルド

出席者D 村上さんは、『アンダーグラウンド』のようなノンフィクションも出されていますが、自分の言葉の外に出ようとして翻訳をやるのと、他の人に話を聞くのとは、通じるものがありますか。村上 僕は、わりあいダイアローグが好きで、話し言葉で書くのが…

『カーヴァーズ・ダズン』を訳し直したとき

『カーヴァーズ・ダズン』という選集に入れたときに、読み直してみて、気になったところを何力所か手を入れて訳し直したんです。それが五年くらい前かな。それで今回また読み返してみたんだけど、「今だったらこうは訳さないな」と感じたところが何力所かあ…

原文のリズムをうまくつかむ

質問者C 先程リズムの話が出てきたんですけれども、そうすると村上さんは翻訳とかをやることによって、音楽をやっているという部分がかなりあるんですか。村上 うん。僕の文章形成システムはかなり音楽的なんですよね。だから、リズムがない文章というのは…

オーギー・レンと村上春樹

出席者D クリーシエ(決まり文句)の問題もありますよね。前に柴田さんがおっしゃってましたけど、村上さんの訳を直してていちばん衝撃を受けたのが、英語のクリーシエをまさにそのまま訳してあったことだと。しかもそれがぜんぜん変じゃなくて、こういう手…

村上春樹の翻訳の欠点

柴田 もう一つうかがいたいことがあるのですが、これは失礼な質問かもしれませんが、僕が人から聞かれていちばんおもしろいと思った質問なのでうかがうのですが、ご自分の翻訳のいちばんの欠点はどこだと思いますか。村上 語学力です(笑)。柴田 そんな、身…

翻訳者の素質

柴田 温泉が小説で、雨が翻訳ですか。村上 よくわからないけど、とにかく(笑)。そういうのってずうっとやっていられるんですよね。 ヽ柴田 なるほどね。村上 あるいはチョコレートと塩せんべい(笑)。僕のなかでそういう仕事のパターンというか、システム…

自分を捨てて翻訳する

質問者J 翻訳と全く関係なくてすごく下世話な質問ですが、村上さんの本の解読本みたいなものに、読者にはあまり理解できないような遊びを作者がいろいろとしているのではないかということが書かれていて、たとえば『ねじまき鳥クロニクル』で、井戸に縄の梯…

ぜんそくの子供:気管支拡張剤の使い方

発作は最小限にすまそう 気管支ぜんそくの治療は発作の予防が大切ですが、それでも発作がおきてしまうことがあります。そういうときは、はやく発作を抑えて気管支の被害を最小限にしておかないと、気管支がもとの状態にもどるのに時間がかかり、その発作はお…

癌治療:メイ牛山、果物・野菜療法

(「癌を直す大辞典」より) 牛山清人氏。平成三年九月二日に、惜しまれながら九十二歳で天寿をまっとうされましたが、亡くなる直前まで現役バリバリの活躍をされていました。 これから紹介するメイ牛山先生のご主人で、亡くなる十五年前にガンを克服した貴重…

乳癌の新規ホルモン剤:GnRH agonist であるZoladexなど

乳癌には他臓器癌と異なり、ホルモン療法という特有の治療法がある。最初は卵巣摘出術が行われ、進行、再発乳癌に対してかなり効果の高い治療法として約100年の歴史があり、現在も数は少ないが行われているすぐれた治療法である。これは卵巣から分泌されるエ…